戦場のヴァルキュリアのストーリーについての話

 

前回のシステムについて

coolonzuya.hatenablog.com

 

 

最初に書きますと、FE風花雪月のプレイヤーは今すぐに戦場のヴァルキュリアをプレイした方が良いです。システムに拒絶反応は出ないと思いますし、ストーリーも合うと思います。

 

第二次ヨーロッパ大戦(E.W.Ⅱ)の開戦、そして・・・
征暦1930年代のヨーロッパ。
大陸は、強大な軍事力を誇る「帝国」と「連邦」にほぼ二分されていた。

派遣を争う両国は、ついに開戦。
ヨーロッパ全土を巻き込む「第二次ヨーロッパ大戦」(E.W.Ⅱ)が勃発したのである。

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現代史についてはあまり造詣が深くないため怪しいですが、第二次世界大戦がモチーフかと思います。なのでマニアックな内容ではなく、ただ一個人が感じた地球とは違う世界の歴史を紐解くような内容です。

また、ストーリーについての感想なのでネタバレはあります。

あとストーリー全部は追いません。世界観と設定に惹かれたためその点を中心に追います。

 

あと二周目入ったら博物総覧*1見れたのでここを中心に紐解きます。

 

世界について

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大雑把な即席ヨーロッパ地図

 主人公所属は大国に挟まれたガリア公国。ラグナイトと呼ばれる資源*2が豊富に手に入る国として有名。また、後述するヴァルキュリア戦争における伝説の英雄が3世紀にガリア王国を建国。その後帝国へ服従し紆余曲折を経て独立。ガリア公国に。

本作ではガリア公国と東ヨーロッパ帝国との戦いが主。

 

ヴァルキュリアについて

この世界の人種は

の三種類がおり、内ヴァルキュリア人は現在ほぼ絶滅*4

ヴァルキュリアは端的に言えばスーパーヨーロッパ人であり、弾薬等は一切効かない。

また、古代ヴァルキュリア戦争における英雄的な存在。

以降、ヴァルキュリアは神(または神の使い)として見られ、ユグド教と呼ばれる宗教にまで発展した。

 

古代ヴァルキュリア戦争について

紀元前30年頃、ヨーロッパ人(ダルクス人)が同族間で争い、暴徒と化していたところをヴァルキュリア人が制圧し、平和をもたらしたというもの。

その戦いにおける英雄がガリアを建国。

以降、ダルクス人は帝国内で奴隷扱いを受け、その他ヨーロッパ内でも差別の対象と。

 

とここまで書いてすごい風花雪月を連想します。

本作では名前が出てこない大西洋連邦機構は諸国の連合であり、帝国の国旗は双方フレスベルグであり、ダルクス人はほぼダスカー人*5*6です。

また、古代ヴァルキュリア戦争も闇に蠢くものとマクムート達の戦争に近いものを感じます。

そして物語を進めるにつれて古代ヴァルキュリア戦争の裏側に迫れます。

 

古代ヴァルキュリア戦争の真実について

古代ヴァルキュリア戦争はダルクス人を抑制するためにヴァルキュリア人が舞い降りたとありましたが、実際には一方的な侵略であったようです。

勝者が歴史を都合よく塗り替える。どこかで聞きましたね。おそらくユグド教もヴァルキュリア人が自ら布教したものでしょう。

また、ストーリー中盤に訪れるバリアス砂漠と呼ばれる古代ヴァルキュリア戦争跡地には下記の通りの説明がなされています。

ガリア公国東部に広がる平野部数十キロ四方に広がる盆地で、草木の生えない不毛地帯である。

 

「ダルクスの厄災」で焼き払われた土地といわれており、兵や一帯は独特なクレーターが形成され砂漠と化している。

クレーターの中心部の地表は大きくえぐられそこから放射線状に地表が広がっている。

この溝は巨大な爆発が発生した際の跡と考えられており、岩山にあけられた大小様々な大きさの穴も同様の理由で形成されたものと推測されている。

 一部抜粋しましたが、この内容は後に振り替えると大きな伏線となっています。

 

話は変わりまして現在。敵側の将にセルベリアという女将がいます。後に判明祖ますが彼女こそ絶滅したかに思えたヴァルキュリアの子孫でした。ヴァルキュリアの放つ攻撃は戦車すらたやすく破壊し、ヴァルキュリア人が自らの命を燃やして放つ攻撃は大要塞すら跡形もなく破壊するものでした。

最初にこのゲームをしていて気になったのはここで、ヴァルキュリア人のこの攻撃は大きな爆発といったものであり、同時にその爆雲はキノコ雲とも言える形状。

そして上記跡地の説明。随所に核兵器を連想させます。

 

風花雪月について

風花雪月の世界における歴史はマクムートによって塗り替えられ、石油と思われる物資の産出地は悲劇の地として語られるほど殺戮・破壊され、古代戦争では未来技術である核兵器やミサイルが多用されている。勝者であるセイロスはセイロス教を布教していきました。この二つのゲームにおける小さな類似点は他にも上げられるかもしれませんが、上記の類似点は私を夢中にさせるに事足りる十分な材料でした。きっと風花雪月をプレイした方にはあの興奮を再度味わえるかと思います。

 

その他のストーリー部分の感想について

上述した部分を書きたすぎてこの記事書いているので熱量が違いすぎるんですが、メインストーリー部分も出来が非常に良かったです。

キャラの印象が戦争している割に軽すぎるとか言われていますが、ゲームにおいて必要なリアリティでは無いと考えているので問題はないかと。同じくマーモットからの脱出における飛行機への搭乗もゲームというファンタジーにおいては現実離れしていても展開が良ければ全て問題ないと考えているので個人的には問題ないです。特にイサラの飛行機を作ってウェルキンを空に飛ばせたいという思いは最後まで続くもので、非常に良いです。

キャラクター達も味方サイドの多くが裏表の無い人物で、共に前へ進んでいく上でキャラへの愛着はどんどん深まります。敵側もセルベリアは人気が出るだろうなと確信する程です。見た目含め。特にセルベリアは自身の誕生、及び幼少期は想像が難しくない境遇なため、プレイヤーに対して非常に共感を誘います。

 

本作のキャッチコピーは「また明日、君に会うために、僕は命をかける。」

便宜的にギャルゲという呼び方をしますが、ギャルゲ要素を強めるにあたり、ウェルキンとアリシアに対するマクシミリアンとセルベリアの対比があり、これがまた素晴らしかったです。マクシミリアンは言ってしまえば皇帝であり暴君。そしてセルベリアはそのマクシミリアンに対し忠誠の裏に愛を微かに見せる場面もあります。同じくしてウェルキンとアリシアも愛を誓いあいますが、ここの対比が素晴らしかったです(二回目)

 

不満点はほとんどありませんでしたが、イサラの死とウェルキンの娘の命名については少し思うところがありました。風花でも(また風花か)ロドリグが死ぬシーンはちょっと興ざめしていたんですが、イサラの死亡も似た流れだったため少し残念。ウェルキンの娘については自分の倫理観的に信じられないものでした。

 

総じてこのゲームは戦術ゲームとしての傑作でありながら現在でも通用しうる世界観・設定を持ち、キャラクターの動かし方についても勉強させられる傑作でありました。

値段も手ごろですので是非。

 

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*1:ゲーム内辞典のようなものです

*2:石油に近い

*3:特に記述されていないため便宜上

*4:正確には絶滅しておらず、公式資料内における記述では混血が進み、純血は絶滅といった記述。なのでヨーロッパ人とした一般的な人物がヴァルキュリア人なのかも。

*5:風花雪月におけるダスカーの悲劇は石油と推定される物体を巡った争いでした

*6:味方にもダルクス嫌いが存在し、実際にダルクス人が近くにいると機嫌が悪くなるスキルさえも存在します。風花と違いこちらはヴァルキュリアが宗教的なものになっているため内情は違いますが